ブックタイトル牛堀の文化 第4号 特集「私の昭和史」

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概要

牛堀の文化 第4号 特集「私の昭和史」

世の中、選りに選って中古の軽四輪車を盗むとは話によると、盗難車輸出の一味が、台数が足りない場合は何でも数合わせに盗むという。便利な道路沿いには程度の良い車がいくらでもあるのに・・・となかなか納得がいかない、だ!どうした!」と声を掛けたが何の反応も無く、心臓は微かに動いていた。慌てて分家のかあ様に電話をしたら、坂を駆け上がって来て、「なんだや!今会ったばかりなのに;・」といってそれにし近所の人達に連絡して呉れた。皆さんの力を借りて救急車を呼び、鹿嶋の小山病院に運んだ。隣町の長女夫婦も駆けつけて呉ても車の無いという事は不便なことだ。私達老人になると車は足であり、足が無くては身動きも出来ぬ、とりあえず一日様子を見ることにした。翌日何んの情報もないので、駐在所に盗難届けを出しに行つたが駐在さんは、「キlは抜いて保管しましたか」の質問に、「いや!誰も来るような場所ではないのでキーはそのままです」と答えたら「それは貴男の落ち度です。これに書いて下さい」といって始末書を書くことになったが、捜して上げますとは言わなかった。考えてみれば一時間余りで東京までも行ってしまう自動車を、捜して下さいと頼む方が無理と思った。しかし私の方も困った。一軒一軒覗いて歩くわけにもいかず、道路に立って通る車を調べる事も出来ず困った困ったで一日が過ぎた。翌一五日の朝のことである。分家のかあさんが来て老人会のことでいろいろ話をして帰っていったがそれから間もなくのこと「ドスlン」という大きな音がしたので急いでいってみると、トイレのドアが半分開いて家内が手を付いて倒れていた「なんれたので私も同乗して病院へ向った。気が付くと、外は大雪となっていた。医者の説明によると、「脳の太い血管が切れ、細い線だけ繋がっているだけで、脳死の状態です」とのこと、みんなが耳元へ「おばあさん!おばあさん」と声を掛けてもまったく反応はなく、微かな鼓動だけだっnun4た一六日皆んなして眠ったままの病人を、何んの足しにもならないがと言いながら見守っていた。七日家に誰も居なくては・:ということで一人家に帰った。寂実たる想いの中で、迫り来る何かが有るような気がした。一八日夕方、電話が鳴り、家内がいま息を引き取ったとのこシ」、ついに来るものが来た、つとめて心を静ませようと努力した。九日子供や孫達、見舞客で慌ただしい一日であった。外には残雪があり寒かった。組合の人に葬式の日取などお願いす