ブックタイトルふるさと潮来 第一輯

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概要

ふるさと潮来 第一輯

人だけで下野を発った。そして鬼怒川街道を下って、陸路、常陸国高浜港より霞ヶ浦(昔は信太の浦と言った) を渡る予定であったo下野田を出て、山野を越える乙と二日、やがて大海の如き震ケ浦の湖畔より、大き念帆船に身をまかせ、旅のつかれKうとうとと、那須兄弟は五月の心よい潮風K吹かれていたo右K下総の丘陵を望み、帆船はやがて「あやめ」で名高い潮来の河岸K着いたのであるo香取の宮の祭典には、まだ幾日かの間もあることとて、弟大八郎の希望もあって、その道すがら鹿島の宮に参詣する予定である。今宵は弦歌さんざめく潮来の街に那須兄弟は宿することと在った。よしきり行々子のさへずりは初夏の風に流れ、青々と伸び始めた芦の葉蔭きそいろκ、その姿も見せずに鳴き競い、岸辺に寄せるさざ波κ夕陽の彩が揺りては崩れ、岸辺K繁る真菰の中には、色とDどり念、あやめのあかね花が、賞、白、紫と咲き乱れ、はるか西の空Kは、茜色の太陽が炎えて、湖水の水平線K真二ツK横切られたように落ち沈み、風に揺ポプラらぐ銀波は夕陽を浴びて輝夕映えて、湖岸の白揚の並木K暮色が忍び寄る夕景色は、との潮来でな〈ては見られぬ風光である。はたご那須兄弟は、湖畔Kある旅宿の二階にある手摺にもたれて、飽かずKとの水郷の夕景色K見とれていた。「兄者、よい風景でどざります念あ・: わが下野の山里では、見られ念い景色ではありませ胞か:::」「ううむ、いつか旅の僧よれy、乙のわたhyの水郷風景を伺ったととがあったが、まなるほど、聞きしに勝さる風景である:::。」すると、階段を上って〈る足音とともに障子が聞けられて、泥〈さそう左中年の女中が入って来た。「御武家さまo御泊でもお持ちしましょ号かね?:::」兄弟κ、そして立ったまhのとの中年女中の素朴念言葉使いK、兄除一は、弟大八郎を見念がらその返事に迷った。「ζ の潮来Kは、きれいな遊女さん達がたくさん居りますよ・左ん左ら、ナぐKもお呼びしますよ:::。」と、尋ねもぜぬととまでも口軽〈女中は水を向けて〈るのである座したま』身左Pも崩さずにいる兄飴一は、いささか当惑らし〈「いやいや。我等は大事念勤めに参じる体。役自の済むまでは、のう泊色は厳禁じゃ。またの機会と致そう崎:::大八郎:::」zJ,o と、兄の除一宗一局は、側Kいる酒豪の弟大八郎K訓すかのようK女中K断るのであった。香取の宮の祭典行事K父に代って初めて出場する那須兄弟は、その首尾を祈願するために、明日は、鹿島の宮K参拝する予定である慣れぬ船旅に疲れたのか、その夜、潮来の宿にある那須除一は、役目の済むまではと、大事を取っていたが、弟大八郎は、案外と気Kする様子も念〈、「兄者:::、折角の水郷名所の潮来走れば、乙のまh寝K付かれるのも惜しゅう御座るo初夏の、潮来の夜の情緒に浸るのも旅の語り草、一一組りするも一興かと存じまする:::。」と一応兄を誘って見たo兄除一は真面目念気性そのまhk、