ブックタイトルふるさと潮来 第四輯

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概要

ふるさと潮来 第四輯

書をたずさえて庄屋太郎右ヱ門を先頭に村人の代表数名が石岡の館へと旅出ったのである。それから数日、領王平良望公の命によって常陸国中より、諸寺諸山の名僧、高僧が板久の付里に集めらやがて水郷を一望する稲向山台地の広場に〆縄その中央Kは祭壇が設けられ、れた。を張りめぐらし倍々と炎えさかる護摩火が真昼のごとくに照らし出され、「雨乞ひの祈樟」が始まった。数百名の僧侶達によってそして天に届けとばかりの経声が昏れ行〈水郷盆地に流れていった。日日五日、毎日昼夜兼行の祈曙が交替で続遂に待望の満願日の七日自に入ったのである。今日限りと必死に祈る数百の高僧たちの衣は汗と境けられ楕魂つめた最後の経声は悲壮に満ちて水郷の天地に倍していった。りにまみれ、だが、天の雨神は無情であった。はるかな西の彼方には、いつもと同じように明日の晴天を予告するかの如く真赤な太陽が、筑波の嶺を茜色に染めて沈んでゆ〈ばかりであった。一粒の雨も左〈、に待った「雨乞い」も空し〈終った。頼みの綱も切れ、そして満願自にも村人たちが待ち絶望げ凡なちた付人たちは、迫り〈る運命は風前の灯火となった。刻々とすでに農民の糧の作物は枯れ果て、え果ててしまった。野の草までも萎そして日に日につのる水への願望はついに断ち消され‘ 水に恵まれすぎて水の蓄の左い水郷の人々の悲嘆は絶頂に達していた。ζ の村人たちの迫りくる苦しみを知るや知らずや、小高い丘の日刊に住む乞食坊主のト竜は、いつものように板久の村里にやってきた。そして空腹をかかえて実々を廻り始めたのである。「ζ の〈そ坊主奴、飯なんぞあるもんか/」。付たちは昨日までは「雨乞いの祈り」に希望をつないでいたがその命の綱を断たれた悲しみが憤満と在って戸、dQO 卜竜を叱りつけた。「食うもんは何んにも無え、こちとらだって食ってねえのだHされた卜竜は、けんもほろろの挨拶で叱りとばいつも最後はきまって甚兵衛の家へとどの家を廻っても廻って来た。甚兵衛は付でも正直者で通りそれに親切であつみん。ト竜はこの甚兵衛に必らず最後κはな世話になってい今日の甚兵衛も、f乙。いつものように卜竜を迎えて「卜竜さんや、とうとうわしの処でも今日限りで食う物も、飲む水も無くなりますのじゃあ:・・:・:。最後、の飯だが、ト竜さんに炊いてあげますべい・。緑