ブックタイトル潮来の昔話と伝説

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概要

潮来の昔話と伝説

二つの満月その日は雨降りでしたが、夜昭和のはじめごろのこと、八時ごろになって雲一点無き無風の好天気となり、東の空に満月の光り輝く晩でした。その日は夜警の当番だったが、雨降りなので休めると思っていたが、当が外れ夜警に出なおんぼうければならなくなり、急いで経抱を頭から被り、裾の泥例ねを除けながら、天神様の老松の森の上に空の満月と同じ位の明かるい大きさの火の玉がゆっくりと、北より南-68-へ動いて行く、松の枝の向う側のように見えた、私はびっくりして家の中に馳け込んで、今見た光景を話すと、市左衛門のおはつ婆さんが「俺も貝塚の占い師の家にちょいちょい行くが、ある日の朝夜明けにはまだ聞のある暗い中に家を出て、現在米川さん宅の裏山千部塚の近くまで行くと、道先二十間程ぐらいの行く手に突然火の手が上り燃え出しそこから先は進むことができず、止むを得ずひと先ず家に帰り、朝明けてから出直して占師に考えて貰うと、かお宅に老爺が念仏千巻経を唱えた木の仏があり、その願を下げないであるからだ、それが卦に出ている“や』いわれ、家に帰って仏壇を見ると丸木の台に紙縫りを持って、経一巻につき一本ずつ縛りし物が有ったので、願を下げて頂いた」との話をしてくれた(私も見せて頂いた)。そのように当時は人間の考え及ばない不思議な現象が見られたものです。(延方)