ブックタイトル潮来町史
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潮来町史
境種類数は少ないが個体数は多く、関東平野に分布する種の北限地域とし環て貴重なところである。然大生神社を中心とする台地には、平地性の普通種が多く、アオスジア自ゲハ、カラスアゲハなどは鹿島地方ほど多くない。昭和四十四年(一九六九)、同四十七年にはこのあたりは、開発による自然環境の変化の多い地域として、注目され、県の調査が行われた(昆虫の項資料より)。オオモノサシトンボ潮来町付近の特記すべき昆虫本県では霞ヶ浦南岸、潮来町、牛久沼、などで発見されており司利根川水系に分布が限られている。潮来町新宮北浦西岸で、昭和四十四年(一九六九)七月二十四日成熟した雄、羽化直後の雌など多数の本種を発見した。県南においてさらに広範囲の分布が期待できる種といえる。オツネントンボ成虫で越冬するイトトンボで、広く分布すると思われる種ではあるが、県南での記録はなかったようで昭和四十四年七月二十四日大生神社で雄一尾を記録した。ホソパセセリ山形県が北限とされているが、関東以南に見られる暖地性の種である。一般には丘陵地や山地に多く、平地には少ない種であるが、神の池、潮来で採集された。本県の海岸に近い平地で記録されたのはめずらしい。チャパネセセリ関東以南の平地、低山帯に普通種であるが以北の寒冷地では稀種である。分布北限に近い地域では春には見られず、秋には個体数が多くなる。鹿島神宮、神の池周辺、潮来と全地域に普通であるが、秋には個体数が多くなる。34町の鳥ヨシキリ潮来をうたった歌の中にも度々登場してくる鳥にヨシキリがある。ヨシキリはスズメ目ヒタキ科の鳥でオオヨシキリ、コヨシキリの二種がある。ヨシキリと言った場合、一般にはオオヨシキリをさす。初夏の頃水辺の葦原や草地に南方より飛来し、「ギョギョシギョギョシ」とやかましく鳴きたてる。その鳴き声から俳人たちはコ汀々子」とよび夏の季語にもなっている。また霞切、葦切、葦雀、葦原雀などとその名を書かれ、早口で多弁な人にもたとえられる鳥である。オオヨシキリは葦の茎を、-二、四本枯草でからめて巣を作り、}の形をまねた壁かけなども造られ、お土産品となっている。コヨシキリはオオヨシキリのおよそ三分の二の大きさで「ジョッピリリジョッピリリ」などのほか変化に富んだ鳴きかたをする。ヨシ原には巣をつくらず、シロネなどの低い草の聞に深いつその近くのヨモギ、ぼ形の巣をつくる。潮来町は広い台地とその周辺に広がる低地、広大な水面丘に水辺にさえずる鳥と変化に富んだ地形をなしている。したがって本町に飛来する野鳥も相当に多く、水面に遊ぶ水鳥、葦原に鳴く水辺の鳥、丘の山林に遊ぶ留鳥、渡り鳥等にぎやかである。その中で、ヨシキリ、ハクチョウについては別項でとりあげることにした。まず水鳥では、カモ類、そしてユリカモメ"ノ、サギ類、カイツブリ、ン、オオパンなどである。カイツブリはムグッチョの名で親しまれケレケレケレとけたたましく鳴いては水にもぐり、湖面の愛きょう者である。その巣は浮巣として葦の茎に水草などを集めて作られ、水面の上下に応じられるように工夫されている。俳人などが浮巣見と称して小舟でくり