ブックタイトル潮来町史

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概要

潮来町史

世守候て、速ニ結合付候様精々力を尽し、上-一おゐても御安堵被レ遊、村々安穏-一罷成候様心懸可レ申者也近この触で注意しているのは、要するに農民は農業に専念することが第IV一であり、そうすれば先祖への孝行になるとともに、妻子も安穏に暮らせるのである。従って天狗騒動の時のようにその分限を忘れて、徒党一味に加担することは論外のことである。}れからは小前百姓は役人のいうことをよく聞いて、ご奉公に励むようにすべきである。そのためにも村の中が早く和睦し、ご法度にそむかないように心がけなければならなぃ、というのである。さらにこの年十二月には、天狗騒動で村むらに対して過分の負担をかけたから、夫金などの雑税を一年間免除すると、次のように達している。今般賊徒御追討-一付御領中等遠近過分之夫役相勤、村々及ニ難義一候趣達二高聞(於上ハ莫大之御入途之御中より格別之義を以、当子一ヶ年夫金井稗、縄、藁御免被ニ仰出一候条其旨ヲ承知、村中惣百姓、寺社門前-一至迄無レ洩可二相達一者也十月石川幹次郎北河原常右衛門鯉幸蔵淵菊地善左衛門村々庄屋与頭騒動のために領内各地の村むらで、武器や諸荷物の運送などのため人夫動員が過分に行われた。それ故に雑税の一部を一年分免除するというのであるが、水戸藩領内ではこの年、稲作の最も大事な時期に騒乱が拡大したのであるから、秋の収穫はきわめて難しかったのである。当地方では未だ騒動が鎮静しない九月末に、次のような触が出ている(大洲新田452「文久四年御用日記留」)。以書附申触候此瑚村々夫役文ハ見張等之為-一自然農事手廻リ兼可レ申候得共、中ニハ義リ立等いたし見合居、取実相すたり蒔付時ヲ失ひ、或ハ家宅被ニ打投一候もの之作物ハ、手を付させさる杯相唱候類も有レ之哉-一相聞候処、右御収納辻えも相拘リ以之外之事-一候、心得違無ν之様、たとへ賊徒にくみし村方逃散いたし候者たり共、作物はすたりニ不二相成一様村役人共世話いたし候儀は勿論、荒畠無二仕付一無レ之様可レ被ν致候(後略)九月廿五日このようにたとえ騒動で村内が荒れたとしても、農作業は格別心を入れるものであるから、出精に励むようにという触れが出ても、現実問題として農民たちにとっては、生活のたてなおしに忙殺されたのである。そしてそのような混乱は明治までの数年間続くのであった。