ブックタイトル潮来町史

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概要

潮来町史

代表では第一一部、潮来、大洲連合村が最大の出資見込額を示している。現これは戸数割が全郡中群を抜いて高いためである。戸数八五三戸という近のは、全郡中戸数第二位の延方村を大きく抜いている。出資金の予定額Vの大きさでは、郡内において措抗しているのであるが、中味が異なる。潮来l大洲村が戸数割に比重がかかっているのに対し、延方村では地価割に重きを置いているのである。明治十三年の調べでは戸数割が潮来町の半数にもならない郡内の玉造村の明治十一年における諸営業調がある(『玉造町史』)。)こでは料理屋一三軒、菓子屋三三軒、質屋六軒、理髪屋、鶏卵屋、大工、はては浄瑠璃師から祭文読みまで、多彩な営業に従事している者が多い。在郷町が形成されていたのである。したがって潮来村でも、)れに倍する諸営業を営む者がいたとみられるのである。そうであるならば、これらの営業者に泰西農法はどのような利益をもたらすというのであろうか。戸数割は、日々糊口をしのいでいた多くの小営業者にとって支払うことのできさきにみた「規則」第三条が、「赤貧等にして資金をない額であって、出さLるものハ共有の権利なかるへし」と無産者を切捨てているものの、それらの分も、拠出されるであろう資金には盛られているのである。したがって、資金調達法は机上の計画にとどまるのである。資金の具体的集金法は以下に示される。第十二条本社の株数は二十二株と定む則ち前条の募集法に拠て算出したる各郡の出金高を以て各一株とす喰へハ甲部炉鰍合当せし金高千円なるときは其千円を以て一株とし乙部一日明州一拍加に合当せし金高七百円なるも亦其七百円を以て一株と為すか如し故に本社は二十二葉の株券を発行するを法とし他に求むることを為さす第十三条前条の法に拠て各部の出金を定むと難とも各部限りの協議により有志家或ハ段算法等適宜の出金法を設くるも妨けなきも554のとす但一部の合当金額に増減を生す可からす第十四条当社の株券は左の雛形(略)により発行すへし但二期の株金悉皆払込の上に非らされハ交付せさるものとす第十五条株金の払込ハ二期と定む即ち第一期ハ明治十三年四月十五日第二期ハ明治十四年四月十五日と定む故に各部委員世話役は期日迄に部中の株金を取纏め本社へ持参し払込の手続を為すへし但本社は第一期払込の節ハ左の雛形(略)に依り受取証を交付し第二期払込の節ハ前条の株券を交付すへし第十六条資金は株主会議の意旨を以て増加することを得へし第十七条資金は一部を以て一株主と見倣し維持するを法とす故に委員世話役は下条付録に依て株券の取扱を担当すぺし右のように各部への株の発行によって資金は調達されるのであるが、株は、現在の証券市場における株式とは似ても似つかないものであった。全郡二二の連合村H部に二二枚の株券を発行するが額面はそれぞれ異なる。一OOO円の額面もあれば、七OO円の額面もある。また連合村の事情により、有志家が多く拠金しでもよいし、地価金に対する拠出額(段算法)も適宜変更を認められている。しかし連合村に決められた額を上回ることも下回ることも認められない。そして決定的なことは、配当については、どこにも書かれていない。社が事業を三五年間つづけ、「期限後結社の奈何は更に株主会議の意旨に任す」だけである。実際に資金がどの程度集められたかについては、史料を欠く。ただ麻生村連合村では加入届を提出しているが、浜村連合村では、浜村のみ加入し、残り三か村は、「村内集会協議仕候得共出金之義何分行届兼指支とても金は出しきれないと加入を拒候ニ付」、村内で協議してみたが、