ブックタイトル潮来町史

概要

潮来町史

明治末・大正期の潮来地方第2章は期限に拘はらず小作せしむ締約季節は田に在ては多くは十二月畑に在ては夏毛冬作収了を待ち概ね十月に締約をなすもの多し【小作料納付期限】[大生原村]小作料納付期限ハ時々一定セスト難モ概ネ十二月下旬ヨリ翌年一月上旬ノ中ニアリ。[延方村]田ニアリテハ玄米ニテ納ムルヲ以テ毎年十月下旬ヨリ十一月上旬間ニ多シ畑ニ於テモ向上稀ニハ麦銭料トシテ十二月末日限リ納ムルモノアリ[津知村]田は毎年十月より十二月の聞に納め畑に在ては毎年十二月中に納む【豊凶ニ依ル小作料ノ増減】[大生原村]作物収穫多寡ニツキテハ年々多少ノ差アレトモ小作料ハ増減セサルヲ例トス然レトモ非常ノ凶作或ハ風水害等一一テ減収ノ場合ニハ其程度-一応シテ割引ヲナスコト、セリ[延方村]年ノ豊凶ニヨリ小作料ノ増減一一就テハ豊作ナルモ増額スルコトナク凶作一一ハ地主会-一於テ協議ノ上自愛劃酌シテ減額スルニアリ[津知村]年の豊凶による小作料の増減については本村及び潮来町延方村地主に於て組織せる積徳講なる一の組合地主会あり毎年十月集会し豊作には増額せざれども凶作には減額の歩合を決定し該決定額を以て納付せしむるを例とせり【小作料滞納者ノ処分】[大生原村]小作人ハ労力ヲ以テ得ル所ノ収益ヲ小作料トス故ニ地主トハ密接ナル関係ヲ有スサレハ時ニ多少ノ滞納アリタル場合ト錐モ敢テ官裁ヲ仰キ所決スル如キコトナシ徳義上翌年度ニ繰リ伸べ納付セシムルカ或ハ年賦貸借トナスヲ例トセリ[延方村]滞納者アリト雄モ強請スルカ如キ殆ント稀ナリ普通証書-一換へ漸次償還ノ法ヲ執レリ訴訟皆無ナリ[津知村]滞納者の如きは稀なるも敢て強請することなく証書に換へ漸次償還せしむることLす【小作地-一係ル諸費用ノ負担】[大生原村]小作地-一要スル諸費用ノ負担ハ土地ノ種類等ニ依リ一定セサルモ通例団地一反歩-一要スル諸費用ノ負担ハ播種及耕転ヨリ移植除草其他一般ニ要スル人夫ヲ二十五人此賃金一人四十五銭-一テ此金十一円二十五銭厩肥ハ十五駄一駄金二十銭ニシテ此金三円苗代肥料ハ一円五十銭籾種七升此金三十五銭農具損料金一円本田肥料金六円ニシテ一反歩一一要スル費用計金廿三円十五銭ナリ[延方村]小作地-一係ル諸費負担ハ総テ地主ニ於テ負担ス[津知村]小作地に係る諸費用は大抵地主に於て負担す【小作地ニ永久改良ヲ施タル場合一一於ル地主ト小作人トノ関係】[大生原村]小作地ニシテ湿田排水或ハ溝渠畦畔等ニ永久的改良ヲ施シタル場合ニハ地主ハ小作人ト協議ノ結果小作料ヲ増額スルヲ慣例トス又小作人ニ於テ単独-一改良ヲナシ増収ヲ得ルアルそ地主ハ過度-一小作料ヲ請求スルコトナシ[延方村]小作地ニ永久改良ヲ施シタル場合ハ地主一一於テ執行シタルトキハ小作料ヲ増額シ小作人-一於テナシタルトキハ増減額セス[津知村]小作地に永久改良を施したる場合は地主に於てせし時は617