ブックタイトル潮来町史
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潮来町史
としての供出が不可能ならば現在供出したサツマイモの一二分の一、二千三百万買を占めるアルコール、酒ミソ、イモ粉、デン粉などの工業用だけを認めさせ、順次他の品種に転換しようと考えているが、供出価格の点では級外への転落もやむを得ない(同前)公定の反当収量の二倍以上もとれる茨城一号の怪物ぶりがここでも明らかであるが、その差の分だけ昧のよい甘藷を温存することによって、農家がうるおっていると新聞はいう。農林省の意向を聞いた県の農林部長は「農林省では主食として全然認めないといっているがその決意は非常に強硬である、茨一の作付禁止措置は本県の農家にとってはまさに死活問題で消費者にとっても例年端境期を救う茨一がなくなることは大きな問題である」というが、迫力に欠ける説明であった。主食として全然認めないという農林省の強硬な決意をうけて、県は懇談会をもっ。昭和二十三年十一月十八日に関係各機関代表と生産者代表が同じテーブルについた。各代表の意見を新聞は以下のように要約した(「いはらき」新聞昭和二十三年十一月十九日)。県でん粉工業組合貯蔵の関係からも歩止りの面から見ても茨一は扱いたくない。何んとか他の品種に切換え茨一は最小限度にしてほしい。業者の立場から云えば農林系か沖縄百号あたりが望ましいイモ類研究所県内の土質からみて多収穫品種は茨一しかない。も潮来町の誕生し他の品種に切換えるならば加里や窒素を現在配給されている肥料の二倍乃至三倍与えなければ他の品種で茨一をしのぐ収穫は得られhih、。ψ~、Uこれはいまの肥料状況からみて不可能である。もし茨一に代る品種を奨励すれば農林三号、同五号、沖縄百号くらいしかないが第4主主比較的多くとれるこれらの品種も茨一からみれば収穫において四割に落ちる県農事試験場茨一に代る品種は本県の土質からみて関東二十二号か農林四号が最もよいと恩われる。県農事試験場で二十一種類のイモを食味した結果は太白を十点とみて茨一は最下等、関東二十二号は七・二点で二十一番中十番目になっており食ぺてもまずくない。反収からいってもそれ程茨一と大差はない生産者代表農業経営上からみて、茨一をつくらねばサツ7栽培はなりたLない。また供出の割当を完納することも可能であり、他の品種に切換えるとせば供出数量を五割位下げてもらわねば農民としては転換出来ない防犯課十月中一ヵ月間の主食買出し検挙は二、四七二件で米は万キロに上っている。}れはまずい茨一の配給をことわりその穴埋めに米の買出しに殺到するためだと思う。茨一を他の美味しい品種にこの際切換えないと毎年米の買出しが多くなり従って結果的にみて配給ルlトを乱すことになると思われる消費者茨一はまずいので多少価格は高くてもうまい方がよいという考えから他のイモをヤミ買いし何れの家庭でも配給を断っている状況だ。この際転換しなければ来年度は茨一の行きどころがないだろ'コ生産者代表だけが孤軍奮闘したという会議ではあるが、「種イモの関係から」翌年度も品種の転換は不可能とみられた。昭和二十三年十一月は十五日分、十二月は十三日分も茨城一号が配給される予定といわれた(同前)。右に引いた国家警察茨城県本部防犯課の話では、十月に二Oトンもの米が閣のルlトに流れて検挙されたというが、一件あたりは八キログラムであり、食糧不足の深刻さがうかがえるのである。甘藷茨城一号は、戦後一度も消費者から名声を得ることなく、消えて721