ブックタイトル潮来町史

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概要

潮来町史

代問題は深刻であったとみるべきであろう。「責任ある結婚相談を行なう現ぺく」、農業委員会が作った「潮来町農業後継者結婚対策実施規程」は、次のとおりであった。近(目的)V農業後継者確保の為配偶者をあっせんし、その地位を安定第条させ、農業に精進させる事。(事業実施要項)第条付結婚あっせんは、農業委員が相談員となり、町内の団体、個人及び他町村の農業委員会等との協力により行なう。口事務局は、毎年四月現在をもって候補者名簿を作成補充し、農業委員に配布する。日事務局は、候補者名簿により他町村との連けいを保ち、配偶者のあっせん基礎資料を作成する。(相談員の主な所掌事項)第条付相談員は、候補者の家庭を訪問し、相談あっせんに努める。口あっせんが整った時は、事務局に報告する。日相談員は候補者等について知り得た秘密を厳守する事。(配偶者あっせん報償金)第四条付潮来町の農業後継者に配偶者をあっせんした者に対し、報償金を支給する。一O年後の夢が語られたその年に作成された振興計画書は、町の農業が、開発の進展にともない、「労働力の流動化、地価の高騰、農産物の商品化の促進がみられ、農村生活の都市化傾向を強め、兼業化、離農化780現象を一層顕在化させる」(昭和四十三年六月作成『潮来町振興計画書』)であろうことを予知していた。「全就業者八五二一人中の過半数を占める四五四三人が農業に従事している」のであるが、「現況でも生産手段の発達に比例して、農家の余剰労働力は兼業化傾向を年々強め、零細農家は賃作業や請負作業に託し、又は出稼ぎが増えるなどさらに特に目立って増加してきた地価の高騰に伴なっての市街地周辺の宅地造成による農地の潰滅など」がみられることを指摘している。町の施策も「鹿島臨海工業地帯の発展テンポに対応して」「住民福祉の向上に対し最も寄与率の高い」「生活環境施設の整備」を最優先させることになる。農業については、「近郊農業と観光資源を配した静かな水郷田園都市としての発展が何より重視され」なければならないとする。米の生産過剰が問題になりはじめたこの時期に、水田単作地帯で経営規模の拡大と増産とは、遠景に追いやらざるをえなかったはずである。昭和四十三年には、内浪逆浦干拓農地二OO町を宅地化するための埋立計画が姐上に乗り、五十二年には六O万坪が造成されている。昭和五十年代になれば、農業振興策も、「米作偏重から脱出、都市近郊型農業、観光農業など、新しい環境条件に適合した農業の発展を図る」(昭和五十七年十二月『潮来町総合計画』)とされる。水稲、麦類、養蚕、たばこ、花き、野菜、施設園芸、さらに牛乳、肥育牛、養豚などの重点作目は、生産規模の拡大、機械導入による劣力化によって生産されるものとされた。加えるに「観光開発プロジェクトとの関連で観光農園、貸農園等の新しい形の農業経営に積極的に取り組む」と観光農業の振興もうたわれている。かつて、就業人口の七割近くを擁していた町の基幹産業農業も、今や観光開発の後塵を拝するところまで零落したのである。