ブックタイトル潮来町史

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概要

潮来町史

面積にして、茨城県は千葉県のほぼ四倍を占めるところからすれば、固定公園が二県にまたがるとはいうものの、主力はやはり茨城県であり、その中心はなんといっても潮来町に違いない。自然と文化財の保護計画はつぎのように記されている。同公園の歩崎観音、長勝寺、稲荷神社境内、香取、鹿島両神宮境内、下津海岸、息栖神社境内、君ヶ浜海岸、犬吠崎、西明浦、外川海岸、扉風ヶ浦断崖の各一帯と犬吠、界風ヶ浦の防禦保安林地域の各一部は公園の保護利用上重要な地域で文化財の保護利用上重要な地域で文化財の保護、海浜景観の保持などの立場から第二種特別地域にして公園計画にもとづく施設でも景観保護のうえから規制する。水郷地域は湖沼、河川景観と水田、点在する農家、屋敷林、あるいは水路にかかる多くの橋などの人文景観が助け合い、初めて公園の特性を発揮する地帯であり、また犬吠地域の第二種特別地域外の部分も風致的に取扱うため第三種特別地域とし、広告物、看板その他工作物を制限し、必要最少限度の案内板、指導標に止め、他は原則として禁止の方針をとり、既設のものはつとめて自然景観にそうよう大きさ、色彩などについて指導し、自然景観の保護をはかる。震ヶ浦、北浦(外浪逆浦を含む)水域は漁業法の規定によって海区の取扱いを受け、また漁港が設置されており、利根下流域は鉱業(と変わる潮来地方くに天然ガス)の開発が期待されるところでもあるのでそれぞれ普適地域とする(同)。このように、漁業や鉱業にやや遠慮は見られるものの、文化財あるいは「人文景観」の保護のために、規制が加えられることになった。地元第5章が最も関心を寄せた利用計画は、つぎのようである。同公園は人口敏密な京浜地帯に近く、交通が便利なため利用者が多いので犬吠岬、浮島、潮来、牛堀の四ヵ所に集団施設地域を設け、道路、駐車場、上下水道を新改築するほか、犬吠崎に簡易宿舎、野営場、海水浴場、博物館、水族館、浮島に簡易宿舎、野営場、海水浴場、水族館、係官施設、潮来に舟遊施設、係官施設をそれぞれ新、改築する。そのほか鹿島下津麻生町問、牛堀町|佐原市問、佐原市新部|同香取問、銚子市笠上町l同三崎問、銚子市四明l同外川聞の車道と銚子犬若i同三崎聞の歩道、下津海岸、神ノ池の両周遊歩道をそれぞれ新設、あるいは改修する(同)。潮来には舟遊施設と係官施設だけが予定されていたわけであるが、0年間も思い描いてきた公園化による地元への還元がこの程度でおさまるわけにはいかないであろう。潮来町長は「三月中に稲荷山公園を整備拡充、国道、県道の整備、駐車場の設置、あやめ園の拡大などを早急に行い、名実ともに備わった観光地を作りあげ、期待にそいたい」(同)と一語っている。さらに「潮来を中心とした観光街の建設、麻生、牛堀両町協力による国民宿舎の誘致、鹿島神宮の公園化など受入態勢の充実に本腰を入れることになった」(同)ともいわれる。固定公園の指定は、町の就業構造を一変させるほどの効果をみせなかったことは、本章第二節でみたとおりである。経済の高度成長の道をつき進んでいた時期には、自然景観も自然保護も片隅に追いやられ、開発が大手を振って閤歩していた。「石を満載突っ走るダンプ」に対して、「あやめ祭でにぎわう潮来町観光客から苦情」(「いはらき」新聞昭和十七年六月九日)といわれた。「このダンプカーはほとんどが鹿島港建設の材料運搬で、重さ百キロもある石をトラックの屋根よりも高く積み、むき出しのまま走っているので誤って車から落ちれば、大事故になることは明らか:::人の波で埋まっている潮来地方はとくに危険性が多い」793