ブックタイトル潮来町史
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潮来町史
第五章昔話・世間話と伝説第一節消えゆく昔話日本人の伝承文化の中で、昔話、伝説、民謡、わらぺ昔話・世間話の特徴と分類唄}とわざ等は、言語伝承に属する。この時即でとりあげる昔話とは、昔の思い出の話や経験の話ではなく、話に共通の特徴をもっているものである。それは、第一に話のはじめに「昔」「昔々」「昔々のそのむかし」といった発語があること、第二に話のおわりに「こんでおわり」「どんとはらい」などの結語があること、第三に話の中間などに、「とさ」「だと」といった語法があり、話者が自分の経験ではなく、「そう聞いている」ことを明確にしていること、第四に昔話は時・所・人物の制限もなく自由に「語る」ものであること、第五に話は信じられない内容で、話者は自由に語るが、昔話には一定の昔話・世間話と伝説型があることなどである。第二の結語は、茨城県内の事例の場合その表現はあまり多くはなく、「という話」「だと」で終ることが多い。第五の一定の型は、昔話の重要な部分をなすところで、変化しないで伝承・保存されてゆくが、そのほか話者が自由に語ることもあり)こからさまざまな派生と変化が生第5章ずることになる。前者は「完形昔話」、後者は「派生昔話」とよばれて、・30、hV3へ日本で尼大な数にのぼる昔話には、さまざまな型があり、研究者によってその分類がなされており、付動物由来、動物競争、猿蟹合戦、勝々山などの動物昔話、口異類賃、異類女房、燐の爺、動物報思、継子諦などの本格昔話、日愚人語、巧智語、誇張謂などの笑話に整理されている。昔話と伝説のほかに「世間話」といわれるものがある。事実讃や経験諌であるが、昔話のように一定の型はなく、伝説のように特定の時、場所、人物に制約されてはいるが、現在またはそれに近い話で、話者の主観で語られ、変化もする。さて、潮来の昔話・世間話は、まだ充分に採集されていない。すでに採集の時期を逸していることもあり、また調査がおよんでいないことが理由である。潮来地方の民話については、昭和五十二年、五十三年の二年間にわたり、茨城民俗学会が行った国鉄鹿島線沿線の民俗調査において、鶴尾能子が昔話の調査を分担し、根本はる(明治三十九年生)、兼原かね(明治三十五年生)、磯山くみ(明治三十五年生)、前島はる(明治三十二年生)、ほかに立野三司、辻某、江寺某から昔話・伝説等一四話を採集している。うち昔話回話、世間話五話である(茨城民俗学会『国鉄鹿島線沿線の民俗』、鶴尾能子「潮来・鹿島の昔話資料」)。以下若干の資料を加えて潮来の昔話・世間話を記すが、なお資料に不足するため、前述の分類を参考にしながら、本節の項目をたてることに921