ブックタイトルうしぼりの文化財 民俗資料編
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うしぼりの文化財 民俗資料編
伝説(謄棚山長者の話)「どうするんだや、お前さん、いくら考えたっていい知恵もなかんべえ、やっぱりが借りするこどにすべえよ」「そう言ったってイ奄等みたいな貧乏人がよ、何のご馳走もないのにお膳ばかり立派な物を並べるだァ、ちょっどばかり気が引けらあナ。ど言ってもこれ以上人数をへらすわけにもいくめえしナ」「来てもらう人はこれでギリギリだよ」「とすると、やっぱりお願いすることにするか」潮来(板来)の稲荷山から西、一帯の丘陵はチョロリ稲荷の所で切れる。-~わ高い森は浅間塚である。浅間塚を中心として、この辺一帯がこの話の舞台どなる長者屋敷のあどである。潮来町を眼下に見下ろして国道51号線がこの丘茂の裾を割き、稲荷山の背後を通って鹿島へと通じている。膳棚山も昔の姿はすでになく、その名さえ忘れ去られようとしている。今は昔、ここに一人の長者が怯んでいた。長者の名にふさわしく情の深い人であった。人々の暮らしは一枚の着物に一個のお椀。ちょっとした寄り合いにも人数だけの時椀を出せる家はそれこそ雲の上の存在であった。しかし、いくら暮らしはまずしくとも、人は生れ、そして死ぬ。嫁入りもあれば婿取りもある 。何人かは住んでおり、生活していくには「寄り合, \J も持たねばならぬ。こうした時、多くの人はその集まりのための膳椀に苦労した。集まっては話し、飲む、食う、ということはいつの時代に於ても重要な事であった。このような時に人々は長者様にお願いをすることになる。'00目、これこれの事がありますので、00人分の膳部、よろしくお願い申し上け‘ます」月iワ臼