ブックタイトルふるさと潮来 第五輯
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ふるさと潮来 第五輯
そして静かに自座の前に短冊が置かれたのである。そして一作を終えた芭蕉の顔はさも満足感に溢れて見えた。折り折りに変らぬ空の雲間より千々のながめは月のまにまにイム頂そしてそれぞれが満足する月見の句が詠れたのであった。あめにねて竹起かえる月見かな曽良月さびし堂の軒端の雨雫去年より夢に見た水郷の月見も、昼よりの大雨で一ときは諦らめて臥したもの〉、今ζ の深夜に素晴らしき明月を観る事が出来た嬉ぴは芭蕉始め、曽良、宗波の胸中氏恩師仏頂和尚の温かい思いやりの結果を想像して深い感激をおぼえたのであった。宗波そして再び静かに筆を取った芭蕉は、すらすらと一句をしたためた。芭蕉そして座を正して改めて仏頂和尚に両手をついた芭蕉は乙の名月を観賞する乙との出来たのも、禅師一行に代寺に寝てま乙と顔なる月見哉「乙の深夜、が吾等一行のために深くお心をくばられた賜です、って厚くお礼を申し上げます。」と和尚に感謝の意を言上した。「向んの伺んの江戸よりはるばるお出下されたご苦労に比べ乙れしきの乙とでお礼を申されると、かえって痛み入れば、りますわいji--・」と和尚は苦笑した。一行は寝る間もなく、和尚の居間で茶など馳走になって雑談にふけっていた。そして東方の鹿島灘が白みかけると、山裾の村里から一番鶏の声が聞えて来た。やがて芭蕉一行は翌日の午後かねてから連絡してあった潮来河岸の石田屋敷に医業を開業する本間自準亭(名を道悦、俳号松江)へと再び小船に乗って潮来の石田河岸へ着いたのである。乙の河岸より見える所にある自準亭の庭の垣根には細い杉苗が並んで植えられてあり、あたかも芭蕉一行を迎える多くの弟子たちのように行儀よく並人でいた。一14-自準亭主本間松江に迎えられる舟よhリ降りた芭蕉と松江は互に手を取り合って其のとの息災を喜び合った。そして俳友を迎えた俳人の松江は腰の矢立を取って発句をした〉めた。ねぐらせよ藁干す宿の友すずめ松江ζ のお迎えの一句を貰った芭蕉は早速その発句に付け句をしたためたのである。秋を乙めたる垣の指杉松江のお迎えの発句は、桃青あばらや「藁を干すような廃家だがゆっくりとと逗留して下さい、そして昔しの友すずめように語り明かそうではありませんか」と言う意味の句である。その発句に対して芭蕉は