ブックタイトル潮来の昔話と伝説

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概要

潮来の昔話と伝説

やがともがらおほみをしくずやさかしゃっくし愛に凶賊の有ることを知り、即て徒衆に命せて祷食して渡りき。是に国栖、名は夜足斯・夜筑斯みずかこのかみとりですみいくさうかがと日へる二人有り。自ら、首師と為りて穴を掘り、壁を造りて、常に居住めり。官軍を規伺ひ、ふせはなあひやらあだどもこおごとに伏し衛り拒抗ぐ口建借間命、兵を縦ちて駆追ひしかば賊蓋に連げ還り、壁を閉じて固く禁る。俄はかりごとたけつわものすぐくまにして建借間命、大に権議を起し、敢死き士を校閲り、山の阿に伏せ隠し、賊を滅さむ器を造りなぎさかざいかだあきぬがき備へて、厳しく海渚に筋り、船を連ね、筏を編み、雲のごとく蓋を飛ばし、虹のごとく旗を張り、あまのとりごとあまのとりぷえまにまうしほおきしまぶりうた天之鳥琴、天之鳥笛、波の随に潮を逐ひ、杵嶋曲唱ひて、七日七夜、遊び楽ぎ歌ひ舞ひき。時にともがらもののねいへぬちことごと賊の党、盛なる音楽を聞き、挙房の男女、悉霊に出で来て、浜を傾けて歓び咲へり、建借間命、とりでしりへうゃからとら騎士をして壁を閉ぢしめ、後より襲ひ撃ちて、蓋に種属を囚へ、一時にして焚き滅しき。此の時ふっ痛く殺すと云へる所をば、今、伊多久郷と謂ひ、段に斬ると言へる所をば、今、布都奈の村と謂やすぎりいえぎきむら今、安伐の里と謂ひ、吉く殺すと言へる所をば、今、吉前の邑とひ、安く殺すと云へる所をば、謂ふ。」と書かれている。伊多久の里は潮来の里であり、布都奈の村は古高村であり、江前の邑は小泉の江崎とされている。(延方)-102-