ブックタイトル潮来の昔話と伝説

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概要

潮来の昔話と伝説

にあう。でも、ツクシを置いた夜は明日の鰻が、川の中から大暴れしながら上って来る様を想像すると子供心に、夜眠れないこともしばしばであった。学校から帰るとカバンを投げ出し、い中り早くツクシの餌獲に飛び出す。夕方張切ってサッパ舟に乗りツクシを置きに出かける。心中明日の大漁を祈りつつ、そしてあの真黒な大きな鰻が上ってくる瞬間のスリルを想像したら、今でもあの興奮、あの経験が、脳裏に浮かんで忘れることがないのです。たいていツクシを作るにしても先立つものは竹、大抵子供ながらも、近隣の町村へ舟で買いに行さて、きツクシを作ったものだった。そんな竹が我が土地の鎮守様にもかなり多く生えてた。こんな処から切って使用すれば、ただの竹がいくらでも手にはいるし、てっとり早くてこんな良いことはゃからない。こんなことを考えて平然と竹取物語をする不逗の輩もいたのです。さて、この鎮守様より無断頂戴の主さん、りっぱなツクシができあがりとばかりに鼻ピクピク、ηt可EA胸ワクワクのご満悦、この竹にして大漁ありと明日の大漁の期待感で夜も眠れない。いざ、明朝のツクシ揚の本番来る口ゃあ獲れること獲れること。さすがの主さんびっくり仰天腰を抜かさんていばかりにほうほうの体で逃げ帰ったという実話がある。実は鎮守様の竹を使えばそんなに鰻が獲れるものでもなく、大きな鰻が獲れるものでもない。あにはからんや、獲れた鰻がどれもこれも白蛇に見えたとのこと。そんな話が起きてから誰一人として鎮守様の竹を切る者はいない。また、それ以外でも無断で竹や木を切って神の似合めを受けた者があるという話を聞いている。霊験あらたかなる鎮守様の故事、簡単に迷信と片付ける者はいないのです。(延方)