ブックタイトル潮来の昔話と伝説

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概要

潮来の昔話と伝説

北向地蔵むかし潮来の村はずれに、潮路里稲荷がありその下(今の西町)にお地蔵様が立っていた。このお地蔵様は、いろいろの願いごとを叶えてくれるので、村人の信仰を集めていた。ながやまやしきそのころ永山(今の牛堀)に金比羅大尽(金特の家)といわれた邸があり、その家には「勘太」というひとり息子がいた。ひとり息子の勘太の母親は、自に入れても痛くない程「勘や」「勘や」と、いって可愛がって大事に育てた。素直で温和しい若者に成長した勘太がある日、父親に使いをたのまれ、用事を済ませた後、近川的道の浜町通りに出てきた。タぐれの浜町の「あやめ楼」の前で美しい芸妓を見た勘太は、もう半分夢心地でいつのまにか楼に入ってしまった。次の日から毎日通いつめになるようになり、朝帰りからだんだん深みに入り、夜通し居続けの、うかれ様になってしまった。ある日母親が帳場のお金を整理すると、お金と帳簿が合わないロ勘太が潮来通いに持出すことをうすうす知っていた母親は、息子が勘当されるようになってはと心配の余り様子を見に、誰にも告げず潮来へ出掛た。でもお内儀さんですから土地柄もわからず、うろうろしたあげくに村はずれの横須賀のある茶店に立寄り、いろいろたずねた所、茶店のおくまばあさんは、「そりやえらいこった。潮来ちゅ