ブックタイトル潮来の昔話と伝説
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潮来の昔話と伝説
お里地蔵ある夏の夕間暮れ、延方上ノ須賀集落にお腹に子を身ごもった女の人が、物乞いに訪れた。家々を一文二文ともらい歩いているうち、集落中程の庄屋さんの店先で座りこんでしまった。まもなく産気づき、庄屋さんは仕事をほうりだして、女を裏の納屋に運びお産婆さんを頼んだり、湯を沸かすやらで大騒ぎ。生まれ出たのはまるまるとした可愛い女の赤ちゃんだった。親となったその女の人は子の顔を見るなり安心したのか息を引き取ってしまった口親切な庄屋さん夫婦は近所の衆に頼み、上ノ須賀共同墓地の入口に葬った。産まれた子は産婆さんに頼みどこかへもらわれていったようである。そんなわけで女はお里という名前だけはいっていたが、どこの出身かどういう事情で物乞いになったか知る由もなかった。そのうち一年忌も過ぎ薄幸なお里のため、近くの有志が、墓碑を立ててやった。誰いおうとなくお産をする人はお里の墓にお参りすると安産するということで、線香の煙が絶えることがなくなった。いつしか二十年程経ったある日、土地の鎮守の神主さん宅に、二十歳位の若い娘さんがやってきて、「私は大阪の商人の娘として育ってまいりましたが、今回結婚をすることになりました。両親から私の出生の秘密を打ち明けられました。私は皆様のお世話になって、この地に眠っているお里の娘です」と、話したD。白内L