ブックタイトル潮来の昔話と伝説
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潮来の昔話と伝説
といって分けてくれません口それでは仕方がないとまたお坊さんは歩き出しました。しばらくすると、やっと一軒の家が見つかり大分日も暮れ、あたりは薄暗くなって来たので、「どうか一晩泊めていただけませんか」とお願いした所、「こんな貧しい所で何もありませんがどうぞお泊り下さい」と老夫婦が心よく迎えてくれた。人の心の美しさにお坊さんは大変喜びました。ゅうげやがて夕飼の仕度になり、みそ汁に入れる身もなく困っているのを見たお坊さんが「そこにわらびがあるではありませんか」と教えると、お婆さんは「わらびはあくを抜かなくては食べられないので、すぐにはみそ汁の身にはならないのですよ」というので、それでは私が食べられるようにおまじないをしてあげましょうと、お坊さんは杖を取り出しお経を唱えながら、わらびの頭をなでました。するとどうでしょう口そこのわらびはやわらかくなり渋味もなく、その晩はおいしいみそ汁がいただけました口それ以来古高のわらぴ大師の囲りのわらびは、あく抜きをしなくても食べられるようになり、石芋だといった所の畑は今でも芋は堅くて食べられないということです。弘法大師様が諸国を旅していた時のお話です。(延方)-39 -