ブックタイトル潮来の昔話と伝説

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概要

潮来の昔話と伝説

思を忘れない狐あんどん時代は明治というずうっと昔のことで、電燈などもまだ無くて、行燈を灯していたころのおじいさんの取っておきの話を聞かそうかのう口これは我の若いころの話で、貴公等のおっ母さんが子供のころのことじゃが、村役場に勤めておったんじゃ、村役場が今の大生原小学校の隣の裏山に建っておって、その辺りは小学校と村役場だけでやから、夜になると人っ子一人通るだけでなし、山鳩や棄の鳴く声が風の音に混じって聞こえてくるぐらいのもんで、それは淋しい退屈なもんじゃった。その役場へ交替で宿直といってな、泊るのじゃ。泊り番の日は役場が退けると、{柔へ帰って寝巻など必要な物を持って役場へ詰めるのじゃ。そして一晩過すのじゃ。日の中は人の出入りもあるし、お百姓さん達が野良へ出かける馬車の音がしたり、お隣の小学校からは、子供達の声、小使いさんの振る鐘の音、オルガンの音等々色々な物音、声でそれは賑やかでよろしいんじゃ。それは我の宿直当番の夜のことじゃった。師走のころで寒い晩の事じゃD我は提灯を下げて家を出たDその中に雪もちらついて来るし、役場へ着けば寝るしかないので、行燈に泊を足し、戸締まりをして、焚木も沢山用意し、自在鍵(天井からつるして、自由に上げ下げするしかけのかぎ、炉の上につるして、鍋や鉄瓶などをかける)にかけた鉄瓶にも水を足し、戸締まりも確かめて、さて寝ょうとしていた時じゃ口外は少しの風音と雪の降る気配だけ。囲炉裏では薪がパチパチと爆ぜる音、鉄瓶の湯のたぎる音、暖かくなった部屋の中で、そろそろ眠くなりかけた時のこ勺,A仏玄