ブックタイトル潮来の昔話と伝説

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概要

潮来の昔話と伝説

狐に廻された話古高の宮田ふささんの話。十年位前の春のころ、太平山へ表のふくさんとわらび取りに行った日のこと。わらびも取れたふくさんが道を間違えて、孫ことだし、そろそろ帰るとしようと二人で山を下りようとすると、兵衛さんの家の方へ行かないで、水原の林の方へ向って行き私に「早くこっちへ来うよ」と誘つも足が向かず、眼の前の森が古高の孫兵衛さんの方へ行てくれるのですが、私にはそれがどうも信じられなくてふくさんのいうことをきくと、く方向のように思えてならず、ふくさんと反対の方へずんずん歩いて行った。古高の森の方へ出られたように思って進んで行こうとすると、またふくさんが「おうい何でそっへ行くなあよ、そっちへ行ったら水原なあど」と大声で呼ばれると、ハッと気がついてふくさんの所へ戻って行って孫兵衛さんの所から家への道を通って無事に帰って来ることができました。後で考えてみると水原の方角と古高の方角とが逆に見えて、ふくさんが私をだましていると思い込んでいた時は狐に廻されていたのだなあとわかった。(延方)どうして-55-