ブックタイトル潮来の昔話と伝説

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概要

潮来の昔話と伝説

狐火子供のころと思う年の暮、お正月の餅を措くために裏の木小屋に焚木を取りに行くと、夜明けあぜみち近くの淡い陽光に内田山や聖堂山が幽かに丘の形を見せて、その下の畦道に二人の人影が、芝を燃してでもいるように、小さな炎を先に移すとボlッと炎が大きくなり、草焼のように見えてすらしく黒い影が動いている。ぐ消え、またその先に火をつけるとまた燃え上り、そして消える。二人の人が交替でつけているその中に家人も焚木を取りに行った人が戻って来ないので、様子を見に来たので、あれあれとその辺りを指差して説明する中に、辺りは日の出近く成り、東の空は明けて来たと思う中に、今まで見えていた二人の人影はハタと消えている。nu coその時はさ程変にも思わなかったが、餅も揚き上がったことだし、先程の畦道の辺りへ焼けた跡も無い、枯草は一尺内外に繁り、道を覆い風にさやさやと廃いているばかりでした口当時西墓に下川春士口爺さんが墓守をしていたのでその子供の芝焼かと思ったがそうでもなかったのである。その時のことを古老に話したところ、年老いた狐が吐く息が光って見えることがあるが、多分その時の炎のように見えたのも、あるいは狐火だったのだろうとのことであるロ(延方)