ブックタイトル潮来の昔話と伝説

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概要

潮来の昔話と伝説

、ヲっそ、ついるころでも、西は万次郎屋敷・恭助屋敷と並び欝蒼と繁った大木の柱立、東南は下河・高田家の竹薮に固まれ、おまけに北側は墓地というそこの立地条件は、昼なお暗いという形容がぴたりという所でした(私の幼少のころの大正末期でもそうでしたから、父の幼少のころは尚更だったことでしょう)。そこへ夜ともなると木の股にお月様が出るのだそうです。闇夜の晩ならまだしも、空に月が輝いていても権現山には月が出、空の月とは似ても似つかないボウッとした、糧色をした形もどうやら丸いが、大きさも形も色も空の月とはまるで違うお月様。そんな変てこなお月様が出て澄ましているのだそうです。それを見て「コラ畜生め、また出たな!」といって、石を投げつけたりすると、スウッと消えてしまい。そうっと遠巻きにして見ているとまた現われる。今度は別の木の股に出るのだそうです。そんなことは度々あった。夏の夜など男の子達は餓鬼大将を先頭に夜になるのを待って権現山へ探検と称して出かけていったものだと父が語ってくれたD (延方)-65ー