ブックタイトル潮来の昔話と伝説

ページ
78/118

このページは 潮来の昔話と伝説 の電子ブックに掲載されている78ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

潮来の昔話と伝説

大入道に道を塞がれた古老の話。昭和二十年頃八月、十番の親戚に祇園招ばれに行って、午前二時ごろ堤防を一人でてくてく歩いて帰ろうとして三つ自の水神様の近くに差しかかると、突然「ボン」と大きな音がしたと思うと、五、六米位先の行く手に糧色の一つ目の大入道が現われて、道幅いっぱいに座って通せんぼした。仕方がなく後戻りしようとすると、また「ボン」と音がしたと思うと先程と同じ一つ自の大入道が眼を光らせて、道を塞ぐ、前へ進もうとしても、後へ退こうとしてもどうにもならず、左は利根川の堤防でやむなく右側へ入って行って腰を下した。するとほんのくぼの辺りを、何かになめられているようでくすぐったい、そこでどうも変だなと思ったので、はいていた駒下駄を抜いで力任せに打ってみた。そうすると真暗だった眼の前がうっすらと明るくなって、辺りの様子が見える。気がついたら私は田ん圃の中に座っていたのでしたD 水雲橋(当時は木の橋) まで来ると、菊地小四郎さんに会いマッチを借りてタバコに火を付けると、何となくしゃんとしてはんじがついたように思ったものでしたD 後でわかったことですが、三つ目の(正気になること)水神様にはむじながいて、人を化かすからあそこを通る時には、よくよく気をつけた方がよいということです。金さんという人もそこで化かされて、お酒を御馳走になっていたら、何と供えてあった汚れた茶碗で、水を呑んでいる自分に気がついたことがあったそうです。やはり金さんもその時、奈良の大仏様位の一つ目の大入道に道を阻れて、立往生したとのことでした。(潮来)-70ー