ブックタイトル潮来の昔話と伝説

概要

潮来の昔話と伝説

カッパのくれた「くすり」「そろそろおしまいにしようか」朝から「よもぎ」を、摘んでいたおったおばさんは、お日さまが西の空へ沈んでいくのに気がつくと、慌てて採ったよもぎを箆の中に入れ帰り仕度を始めました口おったおばさんの旦那さまは漢方医で摘んできた薬草でくすりを作っておりました。すすき野に自生するよもぎ、水辺に咲くフジバカマ、白い花のセンブリなど、おったおばさんは毎日のように採りにでかけました口どっちを向いても豊かな水の流れ、虹を画く水車小屋の水しぶき。一日も終るころになると、夕日に染められたくれないの水が岸辺に滴る青葉の下をゆるやかに流れていきます。おったおばさんは、薬草摘みが終ると、この川の木の橋の上でひと休みするのが大好きでした。きょうも草摘みが終ってから岸辺に近い橋の上に立っていると、大きな水輪ができ「ごぼん」「ザl」という音といっ緒にへんな塊が立上りました。「何んだろう」よく見るとそれはカッパでした口カッパは驚いているおったおばさんの所へ近付くと、いきなり「こっち、こっち」といっておったおばさんの足をひっぱり水の中に引き入れようとしました。「あっ」附嵯にカッパの手を掴んだおばさんは、片方の手で鎌をとり「さっ」と、カッパの手を切りつけ-72一