ブックタイトル潮来の昔話と伝説

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概要

潮来の昔話と伝説

が行われます。ある日、おったおばさんの家にお角力さんが「腰の痛みを直して下さい」と、いって、歩くこともできずにリヤカー(人が引く車) に乗せられて来ました。お祭りの日まであと十三日しかありません。「どうかお祭りの日まで治して下さい」お相撲さんは一所懸命にお願いいたしました。「大丈夫治りますよ」旦那様はそういってカッパから伝えてもらった秘宝の薬を毎日一枚ずつ、つけてあげました。明日はお祭りです。治るでしょうか。いよいよ十三枚目の薬を「ピlッ」と貼がすと、あらふしぎ、お相撲さんの腰の痛みは、ぴたっと治りました。「あ、よかった」お相撲さんは元気いっぱいで仕合にも勝ちました。「十三枚の膏薬で治ったんだとよ」村の人達は騒ぎ始めました。「十三枚」「十三枚」、とうとうおったおばさんの病院まで「十三枚」と呼ぶようになってしまいました。島の十三枚と云えば「あの骨接ぎ医者か」と、知らない人はいない程有名になり昭和の中ごろまで続きました。カッパが出て来たあの川も夕陽が藍色の川面も染めると友禅模様を織り成すように彩どられ、今も静かに流れております。(延方)-74-