ブックタイトル潮来の昔話と伝説
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潮来の昔話と伝説
甚左衛門茶釜昔々、普門院竜雲寺の門前町、また、鹿島へ渡る渡舟の河岸として大変賑わっていた地蔵河岸を前にした茶店が三軒程あった口その内の一軒に、甚左衛門茶店と呼ばれている店があった。甚左衛門じいさんの名を誰いうとなく、店の名として呼ぶようになっていた。ある時当時太田の西山荘に隠居していた水戸の黄門様が潮来に来て、清遊し鹿島詣でをしようと地蔵河岸までおいでになり、舟の出るまで時間もあり、のどが渇いたのでどこか休む所がないかと見渡し、あそこがよかろうと、甚左衛門茶店へ立寄られた。気さくな黄門様は茶を所望し、恐れ入ったじいさんはかしこまりながら、-82-