ブックタイトル潮来の昔話と伝説
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潮来の昔話と伝説
膳棚長者の話潮来の稲荷山から西一帯の丘陵は、潮浪里稲荷の所で切れる。その中でひときわ高い森が浅間塚であり、この浅間塚を中心として一帯が、この話の舞台となる長者屋敷の跡である。人々のくらしは、昔々、この山に一人の長者が住んでいた。長者の名にふさわしく情の深い人だったという。を出せる家は、それこそ雲の上の存在であったという口しかし、一枚の着物に一個のお椀、ちょっとした寄り合いにも、人数だけのお膳やお椀いくらくらしはまずしくとも、人は生れ、そして、死ぬ口嫁入りもあれば婿取りもある。人が生活していれば「寄り合い」も持たねばならぬ。こうした時、多くの人はその集まりのために膳に苦労した。集まっては話し、飲む、食うということは、いつの時代にも重要なことであった。いくら考えたっていい知恵もなかんべえや、やっぱり借りつこと「どうするんだや、お前さん、にすべえよ」「そういったっておいら貧乏人がよ、なんの御馳走もねえのに、膳ばかりりっぱな物を並べるなあ、ちょっとばかり気がひけらあな口といったってこれ以上人数をへらすわけにもいくめえしな」しかし、人は情に慣れやすいものである。できるだけ、ごやっかいにならないようにと、汗水流して働く者もある反面、飲んで食ってその日を終るなまけ者も出てくる始末。困った時には、-84 -お